こんにちは、
今回は、SPI/I2C Serial EEPROMの話題です。
SPI/I2CインターフェイスのSerial EEPROMは、8ピン程度でパッケージが小さい、信号線が少ない、不揮発性のメモリでバックアップが不要といった特徴から少量データの保存用として様々な用途で使われています。
SPI/I2C Serial EEPROMの使用例としては
– シリアル番号
– 測定器の校正データ
– 機器の設定情報
– ネットワークのMACアドレス
– 電話機のダイヤル・メモリ
– 温度などの長期間のロギング
– FPGAのコンフィギュレーション
と様々であり、色々な機器の組込み基板などに実装され、組込み用マイコン等にSPI/I2Cバスインターフェイスで接続されています。
通常、SPI/I2C Serial EEPROMは、専用のROMライターで書込みを行ってから、組込み基板などに実装を行って動作の確認を行いますが、弊社のREX-USB61は、パソコンのUSBポートからSPI/I2Cバスへ変換し、SPI/I2Cプロトコルをエミュレーションするため、SPI/I2C Serial EEPROMの制御・書込みがパソコン上から行えます。
このREX-USB61を使ってSPI/I2C Serail EEPROMへアクセスする手順は以下のようになります。
SPI | I2C |
SPI | I2C |
– ターゲットデバイスへ5.0Vを供給 – SPIマスターモードに変更 – バイト周期を設定する – 周波数を設定する – Write Enableビットをセット – Write命令 + 書き込む番地 + 書き込むデータ をセットとして出力 |
– ターゲットデバイスへ5.0Vを供給 – I2Cマスターモードに変更 – バイト周期を設定する – I2Cバスのプルアップを行う – 周波数を設定する – Write Enableビットをセット – Write命令 + 書き込む番地 + 書き込むデータ をセットとして出力 |
このように比較的簡単に行えるのですが、これらの作業をさらに簡単に行えるキットがあります。
それが今回紹介する「SPI/I2C Serial EEPROM 基板 – REX-USB61-EEPROM」です。
SPI/I2C関連のトピック
RATOC e2eStoreでは、このREX-USB61-EEPROMとREX-USB61をセットにした商品
REX-USB61-EP を会員価格 20,366円(税込)で販売しています。
Serail EEPROM以外のSPI/I2Cデバイスへのアクセスについて説明した記事も以下に掲載しています。
REX-USB61-EEPROMとは
この製品は、SPI/I2CのSerial EEPROMを接続するために特化した専用のボードとREX-USB61からSPI/I2C Serial EEPROMのアクセスを制御するための専用ソフトがセットになっており、別売のREX-USB61と組み合わせることで、SPI/I2C Serial EEPROMへのアクセスを非常に簡単に行うことができます。
それでは、REX-USB61-EEPROMの各機能を見て行きましょう。
最初に専用ボードの方から説明します。
このボードには以下の機能が実装されています。
- SPIプロービング用ピンヘッダー
別売のREX-USB62を接続すると、SPI信号をモニターすることが可能です。 - 28pinソケット(SPI)用のパターン
ソケット自体は実装されておらず、ユーザーの目的に応じて実装することが可能です。
下のようにレバー式IC ZIFソケットを実装することも可能です。 - 8pin ICソケット(SPI用)
ICソケットが実装されています。 - SPI設定用ピンヘッダー
SPI_HOLD# および SPI_WP# 信号の設定が可能です。 - I2Cプロービング用ピンヘッダー
別売のREX-USB62を接続すると、I2C信号をモニターすることが可能です。 - 28pinソケット(I2C)用のパターン
ソケット自体は実装されておらず、ユーザーの目的に応じて実装することが可能です。
レバー式IC ZIFソケットを実装することも可能です。 - 8pin ICソケット(I2C用)
ICソケットが実装されています。 - I2C設定用ピンヘッダー
I2C_WP および I2C_A0/A1/A2 信号の設定が可能です。 - LED実装用パターン
電源ON時に実装したLEDが点灯します。(必要に応じてユーザーで実装します) - REX-USB61接続用ケーブルコネクタ
添付の専用ケーブルを使ってREX-USB61と直接接続が可能です。
このように自由度が高いにもかかわらず、簡単にセットアップできるよう設計されています。
次は、REX-USB61-EEPROMに添付している専用ソフトについて説明します。
専用ボード上に装着されたSPI/I2C Sirial EEPROMへのアクセスを制御するためアプリケーションです。
主要EEPROMへのアクセスに関するデバイスパラメータが最初から登録されているため、チップ型番を選ぶだけで間単にアクセスが開始できます。
SPIデバイス選択画面 | I2Cデバイス選択画面 |
また、登録されていないデバイスについてもパラメーターを編集することで対応させることが可能です。
SPIパラメーター編集画面 | I2Cパラメーター編集画面 |
さて、この専用ソフトには以下の機能があります。
- 読み出し
専用ボード上に装着されたSPI/I2C EEPROMの内容をアプリケーション内のローカルメモリーへ読み出します。
ローカルメモリーのデータを画面上で表示・編集が行えます。 - 書込み
アプリケーション内のローカルメモリーにあるデータをEEPROMへ書込みます。 - ベリファイ
EEPROMに書き込まれているデータとローカルメモリーのデータを比較検査します。 - 消去
EEPROMに書き込まれているデータを消去します。 - ファイル読み込み
ファイルからローカルメモリー上でデータを読み出します。 - ファイル保存
ローカルメモリー上のデータをファイルへ保存します。
以上が、専用ソフトの主な機能です。
Serial EEPROMのアクセスに特化しているため、操作は非常にシンプルで使いやすくなっています。
高速書き込みや大量の書込みには向いていませんが、ちょっとした実験やデバッグのための簡易のEEPROMライターとして使えます。
如何でしょうか。
SPI/I2C関連のトピック
REX-USB61-EEPROMに添付の専用ソフト EEPROMProg Rev.2 がリリースされました。REX-USB61mk2に対応しました。そして、以下の設定・機能が追加されました。
デバイスへの電源供給 1.8V, 2.5V 使用周波数(SPI) 1KHz~50000KHz 使用周波数(I2C) 1KHz~50000KHz バス幅(SPI) Quad通信対応 登録済みデバイスおよびメーカが追加されました。
I2C FRAM Fujitsu製 / CYPRESS製 SPI EEPROM ISSI製 / SPANSION製 / winbond製 詳しくはREX-USB61-EEPROMの製品情報をご覧ください。
今回は、SPI/I2C Serial EEPROM 基板 – REX-USB61-EEPROMの紹介でした。
※ その他詳しい情報は、「REX-USB61-EEPROM ユーザーズマニュアル」および基板外形図、回路図等でご確認ください。これらのファイルは、RATOC e2e Storeの「REX-USB61-EEPROM」の製品ページのダウンロードで公開されています。
それでは、次回をおたのしみに
SPI/I2C Serial EEPROMへのアクセスを簡単に(その2)へ続く…
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I2C RTCデバイスにアクセスする
I2C気圧センサーにアクセスする(その1)
REX-USB61mk2の新機能 EEPROM書込みユーティリティ
この記事で紹介した製品
REX-USB61 - USB-SPI/I2Cプロトコル・エミュレーター
REX-USB61-EEPROM - SPI/I2C Serial EEPROM 基板