REX-USB61mk2で強化された機能（その４）

前回の「REX-USB61mk2で強化された機能（その３）」では、
REX-USB61mk2の添付ソフトウェアのスクリプト実行アプリケーション USB61mk2_Script.exe の機能について紹介しました。
引き続き、REX-USB61mk2添付ソフトウェアのスクリプト実行アプリケーション USB61mk2_Script.exe を紹介します。

今回は、サンプルスクリプトを記述して実際にデバイスを接続しての操作について紹介していきます。

対象とするデバイスは エプソントヨコム製 RTC-8564NB という RTC(Real Time Clock)です。
エプソントヨコム製 RTC-8564NB は、以前のブログ「I2C RTCデバイスにアクセスする」(2014年9月掲載)でも紹介したものです。

1. RTC-8564NBについて

今回は、前回使用しなかったRTCの機能も使用するため、改めてRTCの仕様を説明しますが、
最新情報や詳しい内容についてはエプソンの以下のWebサイトをご覧ください。

http://www5.epsondevice.com/ja/products/i2c/rtc8564nb.html

1-1. RTC-8564NBの仕様

以下がRTC-8564NBの主な仕様です。

水晶振動子	32.768KHz水晶振動子（周波数精度調整済み）を内蔵
インターフェース方式	I2C-Busインターフェース(400kHz)
インターフェース電圧範囲	1.8V～5.5V
計時（保持）電圧範囲	1.0V～5.5V / -20℃～+70℃時
バックアップ時消費電流	275nA / 3.0V(Typ.)
32.768KHz出力機能	出力制御機能付き C-MOS出力
主な機能	時刻・カレンダ機能、アラーム機能、タイマー機能、電源電圧低下検出機能

入出力信号

RTC-8564NBは、以下の入出力信号を持っています。

信号名	入出力	機能
SCL	入力	シリアルクロック入力
SDA	双方向	双方向データ入出力
CLKOUT	出力	出力制御付きの32.768kHzクロック出力端子（C-MOS出力）
CLKOE	入力	FEビット等と組み合わせることでCLKOUT出力状態を制御するための入力端子
/INT	出力	割り込み出力端子(N-chオープンドレイン)
Vdd	–	電源入力端子
GND	–	グランド端子

1-2. RTC-8564NBのレジスタ構成

RTC-8564NBは、以下の16個のレジスタを内蔵しています。

Address	Function	Address	Function
00h	Control1 コントロールシジスタ１	08h	Years カレンダカウンタ[年]
01h	Control2 コントロールシジスタ２	09h	Minute Alarm アラームレジスタ[分]
02h	Seconds 時計カウンタ[秒]	0Ah	Hour Alarm アラームレジスタ[時]
03h	Munutes 時計カウンタ[分]	0Bh	Dat Alarm アラームレジスタ[日]
04h	Hours 時計カウンタ[時]	0Ch	Weekay Alarm アラームレジスタ[曜]
05h	Days カレンダカウンタ[日]	0Dh	CLKOUT frequency CLKOUT出力 設定レジスタ
06h	Weekdays 曜日カウンタ	0Eh	Timer control 定周期タイマ割り込み機能 制御レジスタ
07h	Weekdays カレンダカウンタ[月]	0Fh	Timer 定周期タイマ用ダウンカウンタ

上記レジスタから今回は以下のレジスタを使用して制御します。

コントロールレジスタ１
時計、カレンダを始めとした機能の停止／動作を制御する

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
00h	Control1	TEST	0	STOP	0	TEST	0	0	0

	TESTビット [bit7, bit3]	デバイスメーカーのTEST用で必ず “0” を書き込みます。
	STOPビット [bit5]	“1” をセットすると本デバイスのすべての動作が停止します。 “0” をセットすると、動作を再開（停止を解除）します。

コントロールレジスタ２
各種割り込みイベント動作の設定や各種割り込みイベントの発生状況の把握を行う

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
01h	Control2	0	x	0	TI/TP	AF	TF	AIE	TIE

	TI/TPビット [bit4] (Interrupt Signal Output Mode Select. Interrupt/Periodic)	定周期タイマ割り込みイベント発生時の動作モードを指定します。 　”1″ ：繰り返しの継続動作。 　”0″ ：１回限りの動作。
	AFビット(Alarm Flag)	アラーム割り込みイベントを検出して、結果を保持するフラグビットです。 アラームイベントが発生すると、”0″→”1″ に変化します。
	TFビット(Timer Flag)	定周期タイマ割り込みイベントを検出して、結果を保持するフラグビットです。 定周期タイマ割り込みイベントが発生すると、”0″→”1″ に変化します。
	AIEビット	定周期タイマ割り込みイベント発生時(TF, “0”→”1″)の、/INT割り込み信号の動作を設定します。 　”1″ ：割り込みイベント発生時に /INT端子から “L”レベルの割り込み信号を発生させることができます。 　”0″ ：/INT端子から “L”レベル出力を禁止します。

時計カウンタ
[秒][分][時]を計時

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
02h	Seconds	VL	40	20	10	8	4	2	1
03h	Minutes	x	40	20	10	8	4	2	1
03h	Hours	x	x	20	10	8	4	2	1

	[Seconds]レジスタ	[秒]を計時するカウンタ
	[Minutes]レジスタ	[分]を計時するカウンタ
	[Hours]レジスタ	[時]を計時するカウンタ

時計カウンタのデータ形式はBCD形式で、たとえば[Seconds]レジスタが “0101 1001″なら59秒を意味します。

VLビット

電圧低下を検出して、結果を保持するフラグビットです。

カレンダカウンタ

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
05h	Days	x	x	20	10	8	4	2	1
07h	Months / Century	C	x	x	10	8	4	2	1
08h	Years	80	40	20	10	8	4	2	1

	[Days]レジスタ	[日]のカウンタ
	[Months / Century]レジスタ	[月]のカウンタ
	[Year]レジスタ	[年]のカウンタ

カレンダカウンタのデータ形式はBCD形式で、たとえば[Days]レジスタが “0010 0101″なら25日を意味します。

Cビット(Century bit)

西暦の世紀更新を示すビット 年桁データが99から00にオーバーフトー更新すると、本ビットが “0”→”1″ にセットされます。

曜日カウンタ

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
06h	Weekdays	x	x	x	x	x	4	2	1

　[曜日]を bit0 ～ bit2の３ビットにて示します

アラームレジスタ
アラーム割り込み機能を設定します

Address	Function	Bit7	Bit6	Bit5	Bit4	Bit3	Bit2	Bit1	Bit0
09h	Minute Alarm	AE	40	20	10	8	4	2	1
0Ah	Hour Alarm	x	40	20	10	8	4	2	1
0Bh	Day Alarm	x	x	20	10	8	4	2	1
0Ch	Weekday Alarm	x	x	x	x	x	4	2	1

以下のレジスタは今回は使用しないため、簡単な機能のみを示しておきます。

Address	レジスタ名	機能
0Dh	CLKOUT出力設定レジスタ	CLKOUT出力端子のクロック出力を制御します
0Eh	定周期タイマ割り込み機能制御レジスタ	定周期タイマ割り込み機能を制御します
0Fh	定周期タイマ用カウントダウンタイマ	定周期タイマ割り込み機能を使用する際の、カウントダウン初期値（プリセット値）を設定します

以上がRTC-8564NB の仕様です。

次ページでは、REX-USB61mk2とRTC-8564NBを接続し制御してみます。

次頁[2]へ続く…